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救世主は元カレ Page3

last update publish date: 2026-02-02 08:30:13

 ――そういえば、三年ぶりに会った大智はなんかあかぬけているし、着ているものも洗練されたジャケットにスラックスでなんかシャレている。

 彼は今、一体どんな仕事をしてるんだろう――?

 ――カフェに入ると、あたしと大智は二人掛けのテーブルに向かい合わせで座った。

 まだ四月で少し肌寒いので、オーダーしたのは二人ともホット。あたしはラテで、彼はブラックだ。

「――里桜、元気だった?」

「うん、まあね」

「結婚したんだって? 風のウワサで聞いた」

「……うん」

 大智に結婚のことを言われ、あたしは何だか後ろめたい気持ちになり、左手の薬指を隠した。

 この指輪はいわば〝幸せの象徴〟のはず。でも、あたしはちっとも幸せじゃない。

「そのわりには、あんまり幸せそうじゃねえな」

 そんなあたしの心の内を見かされたように、絶妙ぜつみょうのタイミングで大智にそう言われた。

「うん……。実は、この結婚は不可抗力だったの。色々と事情があって……」

 あたしは彼に、洗いざらい話した。――父が抱えた一億円の借金のこと、その肩代わりを夫である正樹さんのお義父さまがして下さったこと、その条件としてあたしが藤木家にとついだことを……。

「――そっか……。里桜ん家大変だったんだな」

「うん。借金のことがなかったら、あたしもあんな人なんかと結婚してなかったよ。あたしになんの関心もないくせに、束縛だけはひどいんだもん」

「……だよな。今どき、借金のカタに嫁に行くって何なんだって感じだよ。時代さくもいいとこだよな」

「もう、ホントだよねー!」

 あたしは大智と話しながら、ヤケ酒代わりに少し冷めたラテをあおった。

 今、いつの時代よ!? 令和だよ!? こんなの、戦時中までの話じゃないの!?

 ……と、ぷりぷり起こっているあたしに、大智が意外なことを言った。

「ゴメンな、里桜。親父さんの借金のこと、オレがもっと早く知ってたら何とかできたかもしれないのに。お前だって、好きでもない男と結婚する必要なかったのにな」

「…………えっ?」

「オレが代わりに借金返せたかも、っつってんだよ。お前を人質にとるようなセコいやり方しないでさ」

 あたしは耳を疑った。……大智、今何て!?

「オレは今も、里桜と別れたとは思ってないから」

「それは、あたしだってそうだよ。でも、今のあたしは一応人妻だから……」

 彼は今でもあたしのことを好きだと言ってくれているけれど、今のあたしにはその気持ちに応えられる資格がない。

 でも、あんな冷血漢の家に助けてもらわなくても、借金を返せるものなら――。

「――ねえ、大智って今、仕事は何してるの?」

 彼の口振りといい、着ているものといい、ただの会社員とは思えない。

「オレ? 去年の秋に起業したんだよ。今は社長」

 彼はあたしに名刺を一枚くれた。そこには〈株式会社オープランニング 代表取締役社長 大沢大智〉と書かれている。

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